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バッテリー死亡

遠い出先の海山の中でバッテリーが死亡して大変な思いをした。単に空になったのではなく、完全に死亡し、殆ど蓄電能力が無くなった。


普通の車であればバッテリーが死んでもエンジンさえ掛かれば何とかなると思うのだが、156TS Selespeedは違った。この車はクラッチをロボットが操作しており、その為に電力が必要となる。また、スパークプラグ8本を普通の車の倍の回数発火させており、都合4倍電気を食う。
その為か、2800回転以上回すと電力不足のためABSとブレーキの警告等が点灯し、この状態が5秒程度以上続くと、コンピュータがエマージェンシーと判断して自動でNにシフトし、最悪、エンジン停止してしまう。
低回転のトルクの無い高回転型のこの車のエンジンで、坂道や発進停止も全て2800回転以下を死守しながら、極力シフト操作無しで操縦するのは、非常に神経の減る作業だった。さらに、電力不足で、ブレーキを踏むたびに計器の電源が一瞬落ちる!! ブレーキも電力と油圧によるアシストが掛かっているからだ。
長い下り坂を降りる際、いざとなりエンジンが止まればブレーキのアシストも無くなる為、フットブレーキでは減速できない事が予想された。そのため、サイドブレーキを引く覚悟をしながら走行した。
本当に怖い思いをした。これが一般のマニュアル車であれば、ギアとクラッチは全て人手で操作するため、ここまで深刻では無いと思われる。
ちなみにパワーステアリングのアシストの無い状態のこの車のステアリングは非常に重い。両手で体重を掛けて回さなければ回らない。恐らく女性では難しいと思われるし、走行中にエンジンが切れた場合には殆どハンドル操作は出来ないと思ったほうが良い。


そうして、至近の町までなんとか走ってきて、Autobacks で DYNAGRID E-6H に交換した。すると嘘のように快調に走った。バッテリーがこれほど重要な車だったとは。
思うに、この車はピーク時の消費電力量が発電機の出力を超えており、バッテリーによるバッファリングが必須なのかもしれない。


同じ 2.0TS Selespeed にお乗りの方もみえると思うが、くれぐれも、弱ったバッテリーをそのままにこの車で出掛けないよう、ご助言申し上げる。バッテリーが死ぬと、信号での停止状態からゆっくり発進する事すら非常に困難な作業になります。