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国会事故調結果報告

ルートが報告書になっとるんだけど、やる気あるのか?
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<国会事故調>原発事故「明らかに人災」…報告書

毎日新聞 7月5日 21時5分配信
 
横路孝弘衆院議長(右)に国会原発事故調の報告書を手渡す黒川清委員長=国会内で2012年7月5日午後1時3分、藤井太郎撮影
 東京電力福島第1原発の事故原因などを調べてきた国会の事故調査委員会(国会事故調、黒川清委員長)は5日、根源的な原因は「『自然災害』ではなく明らかに『人災』である」との判断を示した報告書を公表した。地震津波対策を立てる機会が過去、何度もあったのに、政府の規制当局と東電が先送りしてきたと断定。その背景に「組織的、制度的問題」があると指摘した。【笈田直樹、奥山智己】

 報告書は641ページ。衆参両院議長に提出した。事故の根源的な原因として、経済産業省と密接な関係にあった東電が、歴代の規制当局に規制の先送りや基準を軟化するよう強い圧力をかけ、「規制する立場と、される立場の『逆転関係』が起き、規制当局は電気事業者の『虜(とりこ)』になっていた」とした。

 その結果、経産省原子力安全・保安院の「原子力安全についての監視・監督機能が崩壊していた」とし、東電を「自らは矢面に立たず、役所に責任を転嫁する黒幕のような経営体質」と断じた。

 事故の直接的な原因として「事故は津波が要因」との見方を否定する見解も盛り込んだ。政府の事故調査・検証委員会(政府事故調畑村洋太郎委員長)の中間報告書(昨年12月公表)や、東電の社内調査報告書(今年6月公表)は「非常用電源の喪失は津波による浸水が原因」との見方を示してきた。

 しかし国会事故調の報告書は、津波の到達時間などを検証した結果、少なくとも1号機の非常用電源の喪失は津波によるものではない可能性があると指摘した。原子炉圧力容器の圧力を下げるための弁が作動していなければ、「1号機では地震の揺れによる小規模の冷却材喪失事故が起きていた可能性がある」とした。

 東電が原発からの「全面撤退」を検討したとされる点は「東電内部で全面撤退が決まった形跡はなく(官邸側の)『誤解』だった」と結論付けた。ただ、誤解を生んだ最大の責任は「民間企業の経営者でありながら、自律性と責任感に乏しい清水(正孝元)社長が、あいまいな連絡に終始した点に求められる」と指摘した。

 事故後の対応では、保安院や東電の説明不足に不信感を募らせた官邸が現場に介入したとし、「情報を把握できないまま介入し混乱を引き起こした。被害を最小化できなかった最大の要因」と批判。「官邸、規制当局、東電経営陣には、準備も心構えもなく、被害拡大を防ぐことはできなかった」と強く批判した。

 事故発生翌日の3月12日朝、菅直人前首相が現場を視察したことに関しても「現場の士気を鼓舞したというよりも、自己のいら立ちをぶつけることで、むしろ現場にプレッシャーを与えた可能性もある」と指摘した。

 検証を踏まえ、報告書は▽規制当局に対する国会の監視▽政府の危機管理体制の見直し▽新しい規制組織に必要な要件−−など7項目を提言している。

 ◇解説…規制の「主従逆転」を指摘

 発生直後から東京電力などが「想定外」と繰り返し、誰もがふに落ちなかった東電福島第1原発事故。国会の事故調査委員会の報告書は、電力会社とそれを監督する規制官庁の「逆転関係」に踏み込み、人災という結論を導き出した。

 調査の予算は約15億円で政府事故調の3倍超。強力な調査権限が認められた半面、調査期間が6カ月と短く、任命されて初めて原発の問題に取り組んだ委員がほとんどだった。公開の委員会に「ショーのよう」という批判もあったが、報告書では、「規制を骨抜きにする試みを続けてきた」という東電や、安全に関する制度の強化に否定的な経済産業省原子力安全・保安院に切り込んだ。そこから浮かんだのは、東電や保安院の安全文化を軽視する体質だ。

 さらに、東電や政府の事故対応や組織的な問題だけでなく、事故原因が津波だけでない可能性に触れた。原発操作の不手際を指摘した政府の事故調査・検証委員会の中間報告書や、官邸の過剰介入を盛り込んだ福島原発事故独立検証委員会民間事故調)と違う視点でまとめたことで、国会事故調の役割を果たしたと言えるだろう。

 9月には、新たに原子力規制委員会が発足する見通しで、委員長をはじめとする人選作業が進んでいる。このような重大事故を二度と起こさないため、規制する立場と、される立場の「逆転関係」をいかに解消させるかなど、政府に突きつけられた課題は山積している。【奥山智己】